1960年代から1970年代の東アジアの経済発展、また現在の東南アジアおよび東アジア、南アジアの高成長国を支えた経済要素はいくつかあるが、その中で、技術進歩(Technical Progress)や、それらが生産要素の貢献においてより一層の効率化をもたらすこと等がマクロ成長モデルを基にすると考えられる。これらの成長要因において、特に経済インフラ整備がもたらす効果については、マクロレベルではいくつか研究があり、いわゆる社会インフラより経済インフラの直接効果が大きいと考えられる中、どのようにこれらの直接効果がもたらされてきたのか、社会インフラおよび経済インフラがもたらす間接効果についてはどうか、また直接効果と間接効果の関連性において、インフラ整備がもつ性格上、どのような面が重要であるか、について、それらの事例検証は十分であるとはいえない。加えて、これらのインフラ整備が、実際にそれらが整備された地域にすむ住民の生活水準や厚生を改善しているのかどうか、という点において、ミクロレベルでの検証が求められる。本研究では、これらの検証がまだ多いとはいえない南アジア、南アフリカ地域を対象に、次の3ヵ国、バングラデシュ、インド、モザンビークを主な研究対象国としており、本年度においては、モザンビークにおいては主にマクロレベルの資料を収集し、インドにおいては、文献サーベイを行い、バングラデシュにおいては研究機関および大学関係者と本イシューにおいて意見交換を行った。
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