本研究の目的は、南アジアおよび南アフリカの研究対象国であるバングラデシュ、インド、モザンビークにおいて、道路、電力、通信などの経済インフラ整備のもたらす社会経済効果をメゾマクロおよびミクロレベルで分析することである。 当初の研究実施計画では、本研究課題の2年目には、各研究対象国における研究をすすめ、またインド、モザンビークにおいては現地調査を実施することであった。 インドにおいては、デリー大学を中心に研究協力者と研究を進めた。特に、インフラ整備がもたらす産業への効果として、投資への効果、特に産業集積への効果を中心に調査を実施した。調査地としては、デリー近郊の産業集積地、および南部のおもに知的集積産業が集まっているバンガロール市とその近郊を訪問した。現地関連機関などで専門家と意見交換をしながら、知的集積産業の投資動向や成長の変遷をみながら、インフラ整備が産業集積にもたらす効果にどのようなものがあるか、またもしもたらすであろう効果がその効果を生かし切れていないとしたら、どのようなバリアがあるか、について吟味した。 モザンビークにおいては、当初現地調査を実施する予定であったが、現地の研究者の都合がつかなくなり、また現地で当該年度に出版される予定であった調査結果が出版されなかったこともあり、当初の現地訪問予定を最終年度に回した。モザンビークについては、当初平成22年度現地調査を実施する予定であったが、研究協力者の予定や現地での実施可能状況をかんがみ、予算を繰り越し平成23年度に現地を訪問し現地調査を実施した。現地での主要統計については、担当者が変わるなど、計画したようには進まなかったが、北部貧困地域における道路インフラに焦点をしぼって、その産業全般、および農業従事者への効果の計測を試みた。 バングラデシュにおいては、今までのインフラ整備の効果に関する文献をまとめた。
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