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2009 年度 実績報告書

非民主主義体制下の経済政策決定のゲーム論的政治経済学による分析

研究課題

研究課題/領域番号 21530268
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

村瀬 英彰  名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40239520)

キーワード内生的経済成長 / 内生的政策選択 / 非民主主義 / 政治経済学 / 地政学 / 国内紛争 / 国際紛争 / 政治的コース定理
研究概要

エリートと大衆の2階層からなる内生成長モデルに地政学的な政治競争を付加したモデルを展開し、モデルを用いて理論分析と理論妥当性の確認のための実証研究を行った。理論分析では、国民経済を自己への奉仕システムにしうるエリートが政策決定権を握っているとき、そこで採用される政策は極めて成長志向的になりうること、しかし、その政策が大衆の権力奪取「能力」を高めるとき成長志向は厳しく制約されることが示された。とくに、こうしたエリートと大衆の権力奪取をめぐるゲームの下で、国民経済が国際紛争の危険に晒されると、エリートと大衆の間に外国を「共通の敵」とする協調が成立し大衆の権力奪取「意思」低下による制約緩和と政策決定における成長志向が生じることが示された。実証分析では、国際紛争の数を各国の紛争からの距離によって基準化した新たな政治的(地政学的)不安定性指標を作成した。そして、指標を用いて不安定性と成長の正の相関を確認するとともに、物的・人的資本・TFPの増大などの成長要因が不安定性のもたらす政府の投資・教育支出増大と消費支出減少と強い相関があることを見出した。これらの実証結果は、理論分析の結果と整合的であるが、とくに、以下の研究上の意義を指摘することができる。まず理論面では、従来の政治経済学モデルは類似の政治体制下にある国々の成長成果の差異を必ずしも十分に説明できていなかった。しかし、本研究は、地政学的不安定性という当該国には十分に制御できない要因が各国の成長と密接な関連を持っていることを示したことから、成果多様性の背景にある新たな要因の解明に寄与したということができる。次に実証面では、独自の政治的不安定性指標を構築しその指標が成長と極めて強い相関を持つことを示した。このことから、成長回帰分析に不可欠である操作変数について外生性を十分に担保した優れた変数を新たに構築・発見したということができる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Threat of Foreign Invasion and Economic Growth2009

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Murase, Hideki Toya, Di Zhao
    • 雑誌名

      Discussion Paper(Society of Economics, Nagoya City University) No.512

  • [雑誌論文] 「企業統治」マクロ経済学:投資家から見た失われた10年2009

    • 著者名/発表者名
      村瀬英彰
    • 雑誌名

      経済研究(一橋大学経済研究所) Vol.60

      ページ: 228-240

  • [雑誌論文] Ownership Structure and the Risk-Profiles of Japanese Stocks2009

    • 著者名/発表者名
      Kaoru Hosono, Hideaki Murase, Ikuko Samikawa
    • 雑誌名

      Corporate Ownership and Control Vol.7

      ページ: 9-17

    • 査読あり
  • [学会発表] 政治的意思決定におけるマーフィーの法則2009

    • 著者名/発表者名
      村瀬英彰
    • 学会等名
      行動経済学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-12-12

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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