本年度においては、家庭ごみ有料化の政策効果の検証を目的として、3つの調査研究を実施した。1つは、全国の都道府県に対して、県内自治体の有料化実施状況・制度運用状況に関するアンケート調査を実施し、これを参考として全国自治体の有料化実施状況に関する最新のデータベースを構築した。このデータベースについては、ごみの有料化を検討する全国市区町村や一般市民に対して、研究代表者のホームページに掲載することを通じて情報提供した。第2に、有料化によるごみ減量がごみ処理費の削減をもたらすかどうかが大きな関心事であるところ、拠点による資源物の細分別回収を有料化と併行して実施することにより、行政収集による経費増を回避しつつ、市民の協力によりごみ減量・リサイクル促進を実現している中京地区の都市を訪問し、回収拠点での分別排出状況を視察し、地域特性や成功要因について知見を得た。第3に、海外における家庭ごみ有料化の政策効果調査として、前年度の米国調査に引き続いて、中国大連市において調査を実施した。同市では、2010年4月から定額制(1世帯当たり月額6元)で家庭ごみの有料化が実施された。定額制であることから、有料化によるごみ減量効果は特に認められなかった。徴収率については、水道・電気料金と一緒に徴収するシステムであることから、かなり高く維持されていた。手数料収入は、ごみ処理費および現在建設中の焼却施設整備費に充当されている。中国の有料化においては、財源確保を目的とした定額制が一般的であるが、ごみ減量を狙いとする従量制への見直しが今後の政策課題であることを確認した。
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