本研究の目的は、アジアの典型的な産業クラスター形成パターンの環境を考慮したプロトタイプモデルを構築し、それにより実践的な開発戦略としての産業クラスター政策を提言することである。 本研究は、産業集積・クラスター理論の途上国への適用を考慮した分析フレームワークを構築し、それをアジア諸国、ヨーロッパのクラスターに当てはめる。全体の研究項目は、下記(1)~(4)となる。 (1)経済理論分析:空間経済学、クラスター理論などのサーベイ、新理論の構築 (2)「アジアの典型的な産業クラスターの形成のパターン」仮説の構築 (3)仮説に関するアジア各国のケース・スタディーの蓄積(現地調査も含む):アンカー企業と関連企業のクラスター形成:異時点間比較 (4)そのヨーロッパのケース・スタディーとの比較 このうちで平成21年度の研究は、上記(1)、(2)を中心に行う。先行研究を考慮しつつ、新しい仮説の構築を目指した。(1)については、アジアの産業クラスターの企業行動モデルが完成した。これは発表の予定である。また、(2)については、タイの東部臨海地域が1980年代に典型的な産業クラスター政策の成功例を見出した。
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