1990年代にはじまった経済改革以降、インドは急速な経済成長と社会変化を遂げてきた。他方、労働市場では「雇用なき成長」が注目され、また雇用の非正規化やインフォーマル・セクター雇用の拡大が指摘されてきた。そこで本研究は、経済のダイナミズムが、成長の中心的担い手のみならず、貧困層を含む大多数のインドの「普通の人びと」の労働と生活に、どのようなメカニズムでどう影響してきたのかを、都市に焦点を絞り、社会階層構造を視野に入れて探究することを目的とした。23年度はフィールド調査を完了させ、分析を進めた。具体的な調査・研究内容は次のとおりである。 1 インフォーマル・セクター労働者調査:グジャラート州アフマダーバードのスラムで行ってきたフィールド調査を完了。その後データ入力と分析を進め、報告書を作成した。 2 中間層以上の労働者に関する調査:中間層労働者に対するヒアリング調査を実施。数は少ないが極めて有益な情報を得ることができた。 3 中間層に関する調査:中間層調査の一環として、デリーの日本語学校生徒を対象にアンケート調査を実施し、調査結果をまとめた。 4 関連文献の収集と研究。 5 調査全体の成果を一冊の本にまとめるため準備を開始。
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