1 平成22年度までの研究活動の継続・拡張を踏まえた経済成長分析成果の公表 2011年6月に米国アレキサンドリア市で開催されたIIOA大会で"A positive observation of long-term knowledge industries change in France and Japan"と題した研究発表を行い、過年度までの研究成果として、EU市場統合政策などの自由貿易政策がフランス知識産業の貿易依存度と自給率が同時に大きくなる水平貿易構造を有するバランスある成長をもたらせたことを指摘した。発表内容のフルペーパーはIIOAのサーバ上に掲載され、全世界に向け公表されている。 2 EU27カ国産業連関表の入手とモデルへの組み込み EU27カ国全域の経済活動を1表にまとめたEU27産業連関表が2011年5月にEU統計局(Eurostat)から公表された。IIOA大会に参加していたEurostat研究者から直接EU27連関表の提供を受け、日本とEU27カ国の「知識産業成長モデル」に組み込んだ。 3 知識産業の二次エネルギー消費分析 2011年11月に慶応義塾大学三田キャンパスで開催された環太平洋産業連関分析学会(PAPAIOS)に参加し、「EU知識産業の二次エネルギー投入構造の観察」について研究発表を行った。2000~2006年のEU27カ国における知識産業の二次エネルギー投入構造の変化を明らかにした。その結果、2005年以降、EU知識産業の二次エネルギー投入係数が大きくなる傾向が明らかとなった。中でも知識創出産業については電力・都市ガスの投入係数の増加が顕著であった。このことから、EU知識産業の経済成長が二次エネルギー消費を増加させる傾向にあることがわかった。
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