研究課題
大災害からの復興過程における経済政策のあり方を、前年度に引き続いて研究した。特に、復興資金の財源及びその有効活用に焦点を当てている。(1) 阪神大震災における復興政策における復興資金の財源、その源泉と配分を検証した。物的な社会資本等のストックの復旧・復興に対する復興資金配分に重点が置かれ、被災者の生活復興支援に対する資金配分は非常に不十分なものであり、その結果被災地の経済復興が遅れたことを実証的に示した。(2) 被災者の生活再建支援に関しては、2007年の法改正によって進捗がみられる。さらに2011年度に改正が予定されていることから、現在の被災者生活再建支援法に関する自治体の意識調査を全都道府県及び全政令指定都市にアンケート調査を行い、その結果を図表によって分析した。特に、支援金を受給した経験のある自治体と経験のない自治体で支援制度への関心や拡充策に関して大きな意識ギャップがあることが分かった。皮肉にも、東日本大震災の最も厳しい被災をした東北3県(岩手、宮城、福島)の意識が大震災以前には全国で際立って低いという結果が得られた。(3) 本研究者の地元における具体的な事例として、世界文化遺産である宮島の自然災害の歴史とその被害額及び復興資金の調達について分析した。宮島の台風等による被害でも厳島神社が被災するか否かで事後的な地域経済が受ける間接被害が非常に異なること、将来における公費による復興資金の限界とその対策についても具体的に考察した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
京都歴史災害研究
巻: 第12巻 ページ: 9-22
The New Viewpoints and New Solutions of Economic Sciences in the Information Society(edited by Hiraki, S.and Nan Zhang)(Kyushu University Press)
ページ: 1-11
被災者支援に関する都道府県・政令市意向調査に関する報告~被災者生活再建支援法2011年度見直しに向けて~(関西学院大学復興制度研究所)
ページ: 43-47