研究課題
大災害からの復興過程における経済政策のあり方を、前年度に引き続いて研究した。特に、復興資金の財源及び有効活用に焦点を当てた。わが国の災害対応における従来からの政策の問題点に加え、東日本大震災における政策の課題・問題点について現地調査を含めて研究し、次の諸点を明らかにした。(1)自然災害の多いわが国では、戦後の法整備において「災害救助法」「災害対策基本法」を基本法として災害対応がなされてきた。これらは、発災直後の緊急対応、物理的な社会基盤の復旧、防災の各側面を主に対象としている反面、被災者の生活や被災地の経済の復興への対応の視点が欠けている。大災害の発災の都度、復興対策が事後的に検討されるために、財源確保の欠如からの混乱と復興の遅延が繰り返されている。阪神大震災後、少しずつ改善されているが根本的な解決策には至っていない。(2)東日本大震災後にも、緊急対応に関しては第2次補正予算までにかなり措置された。しかし、復興に関しては、財源確保の欠如をめぐる政治的混乱もあって大きく遅延し、本格的予算である第3次補正予算や復興庁の設置が大幅に遅れた。現地調査から、復興庁の機能に関して被災地行政(特に県)との関係に問題があることを確認した。(3)大災害後の被災者の生活や被災地の経済の復興までを視野に入れた新しい法体系(例えば「災害復興基本法」)の整備が必要である。復興資金の財源に関して、事後的にその都度考えるのではなく、事前的に臨時増税の可能性を含めて体系化する必要がある。なお、物理的な社会基盤の復旧資金に関しては従来の建設国債発行で賄うことが妥当と考える。
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歴史都市防災研究(立命館大学歴史都市防災研究センター)
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『災害対策全書』第2巻『応急対応』(災害対策全書編集企画委員会編)(ぎょうせい)
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アジ研ワールド・トレンド
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