研究課題/領域番号 |
21530285
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
中原 裕美子 九州産業大学, 経営学部, 准教授 (40432843)
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研究分担者 |
小井川 広志 長崎県立大学, 国際情報学部, 教授 (50247615)
川上 桃子 アジア経済研究所, 新領域研究センター, グループ長代理 (30450480)
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キーワード | グローバルバリューチェーン / 後発工業化 / アップグレード / 価値連鎖 / グローバル生産ネットワーク |
研究概要 |
まず、グローバルバリューチェーン形成プロセスに関連して、途上国の地場企業がグローバル多国籍企業に接近する契機としての地場企業創成プロセスを分析するための理論的フレームワークを提示した。地場企業の生成をダイナミックなプロセスとして把握することが有益であることを論じ、各発展段階の帰結が次の段階の初期条件となるプロセスを通じて、地場企業がグローバルバリューチェーンにコミットしていく様態を明らかにした。 そして、グローバルバリューチェーン論を適用した後発国企業の成長過程の実証分析として、台湾企業によるネットブック市場の創出過程に関する分析を行った。イノベーション論の知見とグローバルバリューチェーン分析の視角を組み合わせることにより、台湾企業がネットブックという新たな市場を創り出すに至った過程を、バリューチェーンに参与する産業アクターの間の付加価値の取り合いのダイナミクスに即して明らかにした。また、エレクトロニクス産業における中間財取引の拡大が東アジアの域内経済統合の駆動力となっていること、同産業の中間財取引の拡大がグローバルバリューチェーンの拡大・深化によって引き起こされたものであることを明らかにした。また、台湾・中国の企業間のグローバルバリューチェーンの形成過程を分析し、これが、台湾企業のバリューチェーン内の役割の高度化と中国企業の急速なキャッチアップを引き起こしていることを論じた。 一方で、グローバルバリューチェーンに統合された台湾企業が、開発拠点を後発工業国に立地させ、そこで本国や他国の開発拠点とのネットワークを結んだ製品開発を行っていることについて分析した。またそれは、一部には台湾の理系人材不足に起因することから、台湾における理系人材育成政策および海外からの人材導入政策、グローバルバリューチェーンの中での台湾企業・中国企業相互の人材獲得の動きについて論じた。
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