研究概要 |
山村は産業発展におけるSocial capitalの機能を、小島の縫製業産地を事例として、主に生産面から論考した。ここで、長期的な経済発展において、Social capitalは初期段階で生産を効率化する役割を果たすが、成熟段階で効率性を低下させることを発見した。この研究は、Journal of Economic Behavior & Organizationに掲載された。一方で、プロ野球の試合ごとのデータを利用して、先発投手の公表制度がいかに試合観戦の需要増加をもたらすかを、Social capitalを軸として考察した。先発投手が試合開催場所を出身地としている場合、観客が増加することを発見した。このような傾向は先発公表制度をとっているパリーグでは顕著であるが、この制度がないセリーグでは観察されなかった。ここから、試合に関する情報とSocial capital(地元選手への愛着)が相互作用を起こすことによって、需要が喚起されることが分かった。この論文は、Journal of Sports Economicsに刊行予定である。 加藤は産業ライフサイクルの基礎理論の要となると期待されるリアル・オプション・アプローチ,および確率過程論を習得し,産業組織論へ応用されている既存研究のサーベイを行った。これらを踏まえたうえで,製品ライフサイクルの成熟期・衰退期におけるモデルチェンジや撤退に関する理論モデルを構築して,産業構造の特性が与える影響を検討した。またこれらモデルに,Social capitalの適用可能性があることを確認した。
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