研究概要 |
3年間の研究期間の初年度の平成21年度は、貴会から平成17年度から3年間の期間で、「行動ファイナンスに関する理論と実証」との研究課題にて研究助成を賜り蓄積してきた行動ファイナンスに関する知識・実績に、最近、Baker et al. (2007, Handbook of Corporate Finance)等で整理されつつある米国での理論や定型的事実を加味しつつ、我が国のデータを用いて、「行動コーポレート・ファイナンス」に関する実証分析を開始致しました。 より具体的には、初年度の本年度は、Baker and Wurgler (2004, Journal of Finance)他を参考に、「行動コーポレート・ファイナンス」の観点からの利益還元政策を研究の中心に据え、実証研究を進めて参りました。Baker and Wurgler (2004)では、企業の配当致策に関して、行動論的観点から、「Catering Theory」という新たな理論が提唱され、米国では、市場参加者の配当に関する需要に迎合する形で企業の配当政策が行われている、という実証結果が導出されております。これに対し、まずは、日本で代表的な電気機器と化学という2つの業種で日本の状況を検証してみたところ、双方の業種で、我が国では先述の「Catering Theory」は当てはまらない、という結果が得られました。 現在、東京証券取引所1部上場企業を対象に、我が国全体としてどのような結果が得られるのか、検証中の状況であり、数か月先には結果の導出と、日本の実状に関するさらなる考察が行えると考えております。
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