本研究の初年度である平成21年度は、(1)モデル選択に必要なデータの収集とその記述分析、(2)モデル選択の基本方針の選定、(3)当該基本方針に関連する先行研究の調査の3点を行った。 まず、(1)のデータ収集については、先行研究の多くが米国の金利を対象にしていることを考慮し、これら研究と適宜比較できるように日米のデータを同時に整備した。また、短期金利と関係すると思われる他の時系列(物価指数、満期の長い金利、為替レート、金融政策の代理変数等)も併せて収集し、とれらを一つのパネルデータとして整備した。 次に、(2)のモデル選択の基本方針については、異なるアプローチに基づく複数の先行研究を参照し、中央銀行の政策反応関数として短期金利の変動を記述する方針を選択した。これにより、近年の低金利状態を含む短期金利の推移を長期的に捉えながら、その背後の構造を実証的に評価できると思われる。また、このアプローチの選択に到る検討過程は学外の専門誌にて公表した。 そして、(3)の先行研究については、Taylor (1993)を起点とする一連の研究を中心にサーベイを行い、これらのモデルを予測に適用する時の留意点を整理した。なお、この留意点の整理については、学外の専門誌にて公表予定である(平成22年4月に刊行予定)。
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