研究課題
サブプライム問題に端を発した金融危機により、世界経済の不透明性は一層深まっている。このような中、Minsky(1975)(1982)(1986)により提唱された金融不安定性仮説はにわかに注目を集めている(Lahart(2007),二宮(2007d))。本研究では、所得分配、金融資産、負債等の観点を考慮した閉鎖体系、開放体系の金融不安定性のマクロ動学モデルを構築し、金融危機(金融の不安定性、循環)を考察することを主たる目的としている。今年度は、その目的を達成するために基礎的な閉鎖体系のマクロ経済モデルを構築した。具体的には、1)長期」と「短期」という時間的視野を考慮したマクロ経済モデルに金融不安定性の議論を導入し、その中に金融不安定性のマクロ経済モデルを位置づけ、その評価を行った(二宮(2009,2010)。2)負債、金融資産の動態を考慮したマクロ動学モデルを構築し、金融の不安定性、循環の検討を行った(二宮(2009))。3)所得分配(Profit-Sharingルール等)、負債の動態を考慮したマクロ動学モデルを構築し、金融の不安定性、循環の検討を行った(Ninomiya(2009))。これらの成果は今後の研究の基盤となる重要なものであり、これを基に研究の方向性について研究分担者との議論を行うとともに、セミチーでの報告を行い有益な助言を得ることができた。今年度は学内行政職務で多忙を極めたが、集中的、効率的に研究を進め、所期の研究計画を十二分に達成することができたと思われる。
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季刊・経済理論 (経済理論学会) (Working Paper, No. 112, Shiga University, 2009) 46(4)
ページ: 25-33
季刊・経済理論 (経済理論学会) 46(2)
ページ: 51-57
Working Paper, Shiga University 118
ページ: 1-28
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/k-nino/index.html