研究課題
研究初年度の平成21年度は、金融危機の展開と収束の状況を見極めながら資料・データの収集・整理と中間成果の学会報告・公刊を行った。そのための研究代表者と分担者との間での研究打ち合わせおよび成果公刊のための確認作業を10月、11月および3月に実施した。設備備品および文献関係では、研究代表者がノートPCを購入した。また研究代表者・分担者ともに、金融危機関連の欧米の文献を中心に文献を購入、整備を開始した。データ・資料の収集と整理に関しては、研究代表者が謝金を用いてOECDのBank Profitability統計を用いた欧州主要国および日米の銀行財務データの入力を行った。また欧米の主要金融機関の年次報告書を10年間分入手し、詳細な分析を開始した。加えて世界金融危機とグローバルインバランス(GI)との関係を解明するために米国財務省などのデータの収集と分析を行い、GIのファイナンスがもたらした米国内低金利が世界金融危機を増幅させたこと、危機後もインバランスが米中を軸に拡大していること等の知見を得た。以上の作業と平行して、研究代表者(岩田)と分担者(田中)は、理事として日本EU学会第30回研究大会(11月)の共通論題を「ユーロ10年と金融危機」と設定すべく尽力し、同共通論題にて研究代表者が基調報告「世界金融危機とEU金融システム」を行った。同報告では1980年代央以降のEU統合の「三つの飛躍」(田中)の中で形成されてきた「金融サービスのEU域内市場」に内在する問題点と課題を明らかにした。また分担者は、日本金融学会2009年度秋季大会の国際金融パネルにて「グローバル・インバランスの再検討」に関するパネル報告を行い、世界金融危機を踏まえたGI論の整理・展開を行った。他方で金融危機後に公刊された規制監督修復のためのEUによる体系的な報告書『ドラロジェール報告』を全訳し公刊した。
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経済学論纂(中央大学) 第50巻, 第3・4合併号
ページ: 187-210
経済学論纂(中央大学) 第50巻, 第1・2合併号
ページ: 279-433
海外事情(拓殖大学海外事情研究所) 58巻9号
ページ: 27-40