研究課題
理論的な分析では、第1に、中村和之は、Harris and Todaro(1970)を参考に、それを拡張し、都市部に失業が発生している場合に、廃棄物処理を行うコストが都市部と地方(田園地域)の2つの地域で異なり、厚生水準が異なってくる状況をモデル化することを試み、廃棄物処理の費用負担を消費税で賄う設定の下で、いわゆるピグー税・補助金政策について考察した。研究目的との関連では、この分析は、都市と地方の2つの地域で廃棄物処理の技術水準・効率が異なる場合に、いずれの地域で廃棄物処理が行われるかによって各地域での生産や雇用量、賃金水準および廃棄物処理サービスのシャドープライスに及ぼす影響が異なるために厚生水準が変化することを定式化して、全体的厚生を高める為の方策を明らかにするという意義を有している。第2に、田平正典は、都市と農村を含む広域圏において、地方公共サービスの外部性がどういったかたちで発生し、その外部性の大きさをどう計ることができるかについて考察した(未定稿)。これは、研究目的との関連において、効率側面から地方公共サービスの外部性を内部化するかたちでの広域行政圏の設定、あるいは経済圏と行政圏が一致するような広域行政の在り方を探る意義がある。実証分析を行う準備として、以下を行った。(1)ごみ処理施設の管理・運営、介護保険の事務などについて「広域連合」のかたちで処理されているサービスに関して資料収集ならびにヒアリングを行った。(2)「平成の大合併」が財政に及ぼす効果を計測するための方法を検討したうえで、資料を収集した。(3)水道事業の方式、規模の経済性の有無などに関して、米国・フロリダ大学のBerg教授、桃山学院大学の矢根教授と交流してデータおよび文献の収集を行い、米国ほかでの研究動向についてヒアリングを行った。
すべて 2010
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Faculty of Economics, University of Toyama, Working Paper, No.253.
ページ: A4判20