研究課題/領域番号 |
21530310
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
後藤 尚久 公立大学法人北九州市立大学, 経済学部, 教授 (20275118)
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研究分担者 |
内田 交謹 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (80305820)
梅澤 俊浩 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (60350360)
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キーワード | 会計制度 / 銀行財務 / ガバナンス / BIS規制 |
研究概要 |
本研究の目的は、会計制度が銀行経営に及ぼす影響について実証的に分析することにある。研究の最終年となる本年度は、昨年度までの研究正解踏まえ本年度作成したデータ・ベースを用いて地方銀行の裁量的な利益調整行動について分析を行った。 一般に貸倒引当金繰入額はほとんどの銀行にとって最大の発生項目である。先行研究では、銀行経営者の利益平準化インセンティブと自己資本調整インセンティブが指摘されている。本研究は、2000年度-2010年度に地方銀行協会および第二地方銀行協会に加盟している銀行を対象として、利益平準化仮説と自己資本調整仮説の2つを検証する。本稿の分析結果は以下のとおりである。第一に、貸倒引当金繰入額と経常利益との関係に注目した分析では、経常利益平準化仮説を支持する結果を得られなかった。第二に、一般貸倒引当金繰入額と業務純益との関係に注目した分析では、業務純益を平準化するために、銀行経営者が一般貸倒引当金繰入額の金額を調整しているとの証拠を得た。第三に、個別貸倒引当金繰入額と経常利益との関係に注目した分析では、予想に反し、経常利益(個別貸倒引当金繰入前)が多いほど、個別貸倒引当金繰入額が減少していた。この点については今後追加検証が必要であろう。
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