研究概要 |
本研究は、2006年12月に成立した「改正貸金業法」による、「上限金利規制」などの規制強化が、「消費者金融市場に及ぼした経済現象を、理論的・実証的に分析し、その政策効果の是非を再検証し、ヤミ金融対策や多重債務者問題に対する有効策を導出する。」という目的で、一年目は上限金利の引き下げと総量規制に焦点を合わせて、地域産業連関表を用いて分析した。その結果、上限金利規制や総量規制の影響は利20%超の個人向け無担貸金業の貸出残高減少の影響2007-2008年度名目GDP成長率マイナス0.26%、雇用誘発効果マイナス10,426人、全残高では、2007-2008年度名目GDP成長率マイナス0.28%、雇用誘発効果マイナス11,057人、となった。 また、本年6月から総量規制が実施されると、16%が借入を拒否されるとすると名目GDP成長率マイナス0.19%、雇用誘発効果マイナス7,597人、20%が借入を拒否されると名目GDP成長率マイナス0.25%、雇用誘発効果マイナス10,100人となる。という、北海道経済に大きな影響が出ることが判明した。本研究では消費者向け無担保貸金業者貸付残高のみを分析したものであり、2008年度ベースで、貸金業の総貸出残高(378,467億円)の約17%(65,865億円)の貸出残高の分析にすぎない。従って、貸金業の日本全体の上限金利規制と総量規制の経済効果を推測すれば、約5倍、名目GDP成長率約マイナス2.5%、新規失業者は約9万人となる。北海道は日本全国の約4%経済とすれば、全国規模に単純換算すると、新規失業者数は25倍の約47万人となるものと考えられる。
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