研究課題/領域番号 |
21530311
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
飯田 隆雄 札幌大学, 経済学部, 教授 (00193136)
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研究分担者 |
山田 玲良 札幌大学, 経済学部, 教授 (50364203)
加藤 晃 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (70177426)
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キーワード | 上限金利規制 / 多重債務 / 総量規制 / 消費者金融 / 経済効果 |
研究概要 |
本年度は2006年12月に成立した「改正貸金業法」による、「上限金利規制」と「総量規制」の規制強化が、消費者金融市場に及ぼした経済現象を、実証的に分析し、その政策効果の是非を再検証することであった。 具体的には、日本全体、北海道、大阪府と産業構造の異なる地域を比較しながら分析した。 その結果、「改正貸金業法」の完全施行によって、消費者向け貸金市場が消失し、個人は自由に少額資金を借入出来なくなり、破綻や消費(事業)の縮小に追い込まれた。 この制度改革による軽済政策の失敗例を数値で証明出来たことは、本研究にとって重要な成果である。 なお、経済効果の視点では以下のようにまとめることが出来る。 日本全体の上限金利の影響は名目GDP成長率で換算すると、2006年度マイナス0.22%、2007年度マイナス0.49%、2008年度マイナス0.45%となる。経済の落ち込みに対する新規失業者数は2006年度約15万人、2007年度約34万人、2008年度約32万人である。総量規制の影響では0.38%名目GDPを押し下げ、約23万人の失業者を排出する。 北海道における上限金利規制の影響は、2006年以降2008年まで名目GOPベースで毎年平均0.24%も景気を引き下げ、失業者もこの間の累計が約2.9万人に達するマイナス効果があった。大阪府では上限金利規制の影響は、2006年以降2008年まで名目GDPベースで毎年平均0.27%も景気を引き下げ、失業者もこの間の累計が約3.8万人に達するマイナス効果があった。 大阪府のアンケート調査から総量規制に抵触する利用者の内50%が破綻するとした場合、2010年6月からの貸付金額総量規制の影響は2008年名目GDPベースで北海道では0.25%景気を押し下げ、約1万人の新規失業者を創出する。
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