研究課題
平成22年度は、清水がリサーチメンバーとして参加するASEAN+3リサーチグループの研究テーマが東アジアの為替協調政策と地域通貨単位に関することであり、「地域通貨単位の有用性をより具体的に実証するという目的で報告書作成に携わった。ASEAN10カ国と日中韓の研究者、政策担当者が集まる国際会議においても地域通貨単位の可能性に関わるディスカッションが行われ、アジアにおいて将来地域通貨単位が果たす役割について実務的な側面から議論する論点を抽出したことが第一の成果であった。具体的には、アジア通貨単位が域内為替協力のサーベイランス指標として果たす役割は認められているものの、アジア各国の合意を得るためには今しばらく時間が必要であること、さらにサーベイランス指標としてではなく、民間に利用される通貨単位としての道を開くためには、まず地域通貨建て債券の建値として利用される可能性を目指して今後政策主導で進めていくことが考えられるが、そのためにはアジア各国通貨の資本取引規制がより一層緩和される必要性がある。一方で、相場の乱高下が続く日本企業にとっては、貿易建値として米ドル偏重から徐々にアジアの現地通貨を利用する可能性が生まれており、中国元をはじめとするアジア通貨の取り扱いが今後増えることが期待され、それに伴いアジア通貨の資本規制緩和が今後どのように進展するかが注目される。
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Journal of International Commerce, Economics and Policies
巻: Vol.2,No.1 ページ: 1-17