研究課題
本年度の目標は、近年発展の目覚しい脳神経科学的なアプローチを用い、様々な市場価格変化と脳活動との関係を検証するとともに、脳活動を直接説明変数として持ち、さらに高い精度を持つ意思決定モデルの開発に取り組むことである。具体的には、以下の改善をした。(1)fNIRSによる脳神経情報デコーディング技術の向上を目指し、以下のシステム改良および実験を行った。(1-a)前頭前野外側部のように、これまで注目してきた脳部位以外の酸化ヘモグロビン濃度変化についても検討した、その結果、右眼窩部や腹内側部も被験者によっては重要情報を持つことが分かった。(1-b)観測された生体データに含まれるノイズを除去するために、Savitzky-Golayフィルタのほか、各種フーリエフィルタを併用し、最適なものを自動で選択できるようにシステムを改良した。(1-c)投資意思決定予測モデルについて、ベイジアン・ニューラル・ネットワークモデルを、時間ラグも捉えることができるように改良するとともに、サポートベクターマシン(SVM)との併用もできるようにした。これらの結果はNeuroscienoeや人工知能学会論文誌に掲載された。また、隠れマルコフモデルの使用や状態変遷を含んだモデルへの拡張は現在分析中である。(2)意思決定バイアスを特定し、意思決定モデルを改選するために、人々を合理的な意思決定から乖離させる情動反応を誘発しやすい市場状況を分析した。予想される実験・分析上の問題点として、情動状態を誘発する市場環境を特定するのがさほど容易でない点が予想されたが、これは典型的な金融時系列モデルを市場データから推定し、実験に際しては、そのモデルのパラメータをコントロールすることで解決した。現在分析中である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
人工知能学会論文誌 Vol.25, No.1
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The IEEE Transactions on Evolutionary Computation Volume : 13, Issue 1
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http://www.ms.kuki.tus.ac.jp/outline/faculty/profile/shimokawa.html