研究課題
本年度の目標は、平成21年度に引き続き、投資意思決定モデルの精緻化に関する分析を完成させるとともに、その成果の発表を行うこと。さらに、均衡モデルのエージェントベース・シミュレーションを用いて、これまでの実験から実証的に得られた意思決定モデルと市場価格形成との関係を検証することである。(1) 投資意思決定モデルのさらなる精緻化より現実の市場環境に近い環境を人工市場型Brain Computer Interface(BCI)を用いて作成し、その環境において、さらに進んだ投資意思決定と脳活動との関係を追及した。具体的には、意思決定分析プラットフォームとして、4人が市場に参加し、同時に脳情報を計測、リアルタイムに処理可能なBCIを作成し、最も頻繁に観測される意思決定バイアスの一つである資産効果について検証した。これらの結果について、人工知能学会や情報処理学会において発表した。(2) 金融市場における定式化された事実(FSF)と意思決定モデルとの整合性これまで、我々はプロスペクト理論に基づくロス回避性を持つ投資家をモデル化し、均衡モデルのエージェントベース・シミュレーションにより、多くのFSFとの整合性を示してきた。しかしながら、そこで採用したロス回避モデルは理論モデルを単に修正したものであり、実証的な根拠を持たなかった。今回の分析では、この弱点を改善し、実際に投資実験から観測した意思決定モデルを使用し、市場全体のふるまいとの関係を検証した。すなわち、我々の意思決定モデルを組み込んだ均衡モデルから生成される価格列が、実際に観測されるFSFを再現可能かどうかを検証し、収益率分散の強い正の自己相関や収益率分布の大尖度、レアな変動に対する過度の反応について、整合性を確認した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
International Journal of Computational Science
巻: Vol.4, No.2 ページ: 199-217
巻: Voi.4,No.2 ページ: 173-185
http://www.ms.kuki.tus.ac.jp/KMSLab/shimokawa/index.html