研究概要 |
本研究は、原資産の価格(厳密には収益率)が、GARCH過程(Generalized Autoregressive Conditional Heteroskedastic Process)に従うと同時に、GARCH過程におけるイノベーションが、正規分布を特殊なケースとして含む連続分布に従う場合、新しいオプション価格付けモデルを構築することと、日本の証券市場のデータを使い、提案されたモデルの有用性を検証することを目的とする。本年度は、理論モデルの構築に努め、Schroder(2004, Journal of Finance)が提案した状態価格密度(State PriceDensity)の定式化をGARCH過程の枠組みで捉えた上で、GARCH過程の表現を改めた。その結果、Duan(1995, Mathematical Finance)のGARCHオプション価格付けモデルを特殊なケースとして含むオプション価格付けモデルが構築できた。しかしながら仮定の妥当性や証明過程における矛盾の有無などをより厳密にチェックする必要性は依然として残っている。一般的に、GARCHオプションモデルは明示的な表現がないため、オプション価格の計算には殆どの場合シミュレーションに頼るしかないが、実証分析のために、閉形式のオプション価格付けの例を検討し始めている。
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