研究概要 |
本研究に関わる先駆的論文は、Duan(1995,Mathematical Finance)である。彼の論文は、原資産の対数収益率がGARCH過程に従い、尚且つイノベーションが正規分布に従うという仮定の下で、ヨーロピアン・オプション価格を計算するためには、リスク中立確率の下で、対数収益率のGARCH過程がどのように表現されるべきかを明らかにした。本研究は、Duan(1995)のGARCHオプション価格付けモデルを特殊なケースとして含む、一つの拡張されたオプション価格付けモデルを提案している。まず、イノベーションが非正規分布に従うとき、リスク中立確率の下で、GARCH過程が満たすべき条件を導出している。また、イノベーションの非正規性が、オプション価格にもたらす影響を明示的に捉えるために、よりクラスの広いGED、EGB2分布などを紹介した。更に、株価過程におけるイノベーションと状態価格密度との相関関係に関する解釈を加えた。 他に、本研究とChristoffersen,Elkamhi,Feunou and Jacobs(2010,Review of Financial Studies)との類似点と相違点を付け加えた。また、本研究と、Duan自らによる拡張モデルであるDuan(1999,Unpublished Manuscript)との関わりについても言及した。
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