研究概要 |
信用金庫の経営の安全性が地域経済の発展に重要であるとの認識に立ち、信用金庫の経営の安全性を測る指標として自己資本比率などの指標に変えて新たにZスコアー策定した。それは、過去・現在・未来から信用金庫の安全性を評価し、しかもその策定の簡便性・透明性から優れた指標である。そのZスコアー値が信用金の生存確率の有意な説明変数であることをカプラン・マイヤー法を用いての実証分析から析出すると共に、Zスコアー値の要因分析を試みた。 金融危機後、数多くの信用金庫が合併や事業譲渡などの形で消滅した。信用金庫の消滅は、1)地域金融機関としての「名声」に基づく積極的な融資態度、2)経済環境急変の中での信用金庫の情報収集・分析能力の低さ、3)地域経済の長期的な悪化にるとの検定仮説を立て、1)の代理変数に債務保証-貸出金残高比率を、2)のそれには一店舗あたり従業員数を、3)のそれには県内GDPを用いて、Split Population Modelを用いてベースライン分析をした。尚、その際地域的な異質性を考慮して東京ダミー、大阪ダミー、さらに合併信用金庫数を変数に加えた。2)因子以外は符号条件は想定通りであるし,有意であった。3)地域経済要因の算定と頑健性テストの仕方に今後の課題を残した。 金融機関の所有形態の地域の経済成長に及ぼす影響を分析した。協同組織金融機関が地域の経済成長を促進する上で商業銀行に対し比較優位を持つとすれば、前者の経営破綻は後者よりも地域により大きな負の影響を持つであろう。しかしながら、我々の分析結果からは上述の仮説を支持する明確な証左は得られなかった。 研究を進捗させるため、全国の信用金庫に対しアンケート調査を実行した。また、合計7信用金庫訪問調査をした。外部講師を招聘しての研究会を2回行った。
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