日本における地域・中小企業金融の中核を担う信用金庫や信用組合は、消費者余剰の最大化を理念上の目的とする協同組織金融機関であり、信用割当など金融・資本市場における「市場の失敗」を是正する上で、株式制銀行に対する優位性を有する可能性がある。しかしながら、標準的なエージェンシー理論において想定される企業統治メカニズムの多くを欠くことや、その零細な経営規模と狭隘な営業エリアのために経営の不安定性が相対的に高く、地域・中小企業が直面する外部資金調達プレミアムの削減を通じた地域経済の振興という本来期待される機能が制約を受けている可能性がある。
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