本年度は、企業活動に関する金融リスクを2つの側面から分析した研究成果をまとめ、また、一時的なバブルにおける資産価格の形成に関する論文についても取りまとめた。最終的には金融リスクに換算されているが、企業活動に伴うリスク要因として注目したのは次の2つのリスクである。一つ目のリスクは、外国為替の変動が不動産市場に与えるリスクであり、二つ目のリスクは海外直接投資に伴う、投資先の国が投資プロジェクトを撤収するリスクである。具体的には、不動産資産を証券化した金融商品であるJ-REIT(賃料などを収益源とする)が持つ外国為替エクスポージャーに関する研究およびロシアにおける天然ガス開発プロジェクト(サハリン-2)が持つ撤収リスクに関する研究である。この二つの研究成果は学術論文としてまとめられ、論文誌に掲載された。とくに、後者の論文は国際学会、国内学会で発表され、査読付き論文として出版されている。一方、バブル期における資産価格の形成に関する論文も出版された。最後に、これまでの資産価格の形成とリスクの関係に関する準備として、企業の持続性に関するデータの収集・整理を行った。
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