研究概要 |
本研究は,ロンドンとニューヨークにおける国際金融センターの形成を比較史的な視点から考察し,マクロ経済的な統計データとミクロ経済的なデータとなる金融機関の経営文書を組み合わせて総合的に利用することで,国際的な金融センターが形成されるメカニズムを導出するところに課題がある。平成22年度においては,以下に述べる研究活動を実施し,研究課題に関する知見を得ることができた。1.戦間期のニューヨーク金融市場の国際化に関して,モルガン商会J.PMorgan&Co.のローン文書を調査し,同商会が発行した第一次世界大戦関連の外債に関する文書を収集した。これにより,同商会の戦時金融活動をヨーロッパ諦Ilqとの関係から具体的に把握することができた。また,同商会のパートナーであるラモントT.W.Lamontの尽力により発行された1924年の日本政府震災外債発行のニューヨーク金融市場関連の起債情報を調査し入手した。さらに,上記についてはCommercial&Financial Chronicleから関連する記事を抜き出しコピーした。2.コロンビア大学図書館において,シティ銀行National City Bank頭取ヴァンダーリップF A vanderlipの文書を調査・収集し,同行が国内銀行業務から国際業務に転換する経営戦略の実態を解明した。同時に,次年度のリサーチの準備として,同図書館が所蔵するシティ銀行の頭取James Stillmanと連銀の総裁G.F.Harrisonの文書内容を調査した。
|