研究概要 |
23年度も引き続きニューヨークおよびロンドン金融市場を構成する金融機関,銀行家,監督機関の活動に関する情報データを調査,収集,分析した。 ニューヨークについては,ニューヨーク連邦準備銀行総裁G.L.ハリソン文書,投資銀行家J.P.モルガン2世文書,セリグマン家文書などから,戦間期の金融市場における外債発行と投資銀行などの金融機関の関与についてリーサーチした。とくに,モルガン商会による復興外債を含めた日本政府外債発行活動に関心を払った。これらの資料と,以前に大蔵省財政史室で収集した津島寿一文書と照合を行った。また金融機関のニューヨーク市への集積過程を解明すべく,コロンビア大学図書館,ニューヨーク市立図書館(SIB)において金融年鑑となるMerchant's & Banker's Register(Almanac)を調査した。ロンドンについては,London Metropolitan Archivesにおいて英系海外銀行Chartered Bank of India, Australia & ChinaとマーチャントバンクのMorgan Grenfellの経営文書を調査し,外債発行時のニューヨーク金融市場やアジアの金融機関とのリンケージを解明した。英国国立公文書館において財務省史料(T230や231)にもとづき,第二次大戦後のオフショア金融市場となるユーロダラー市場の形成に関する英国政府の政策を調べた。金融センターへの人材供給に関しては,Dictionary of Business Biographyや Who's Who in Britainから銀行家に関する情報を抜き出し経歴を整理した。さらにHarvard Alumni Directory-150Years, 1840-1990を入手し,米国にみられた金融業界と教育機関との繋がりを分析しつつある。
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