研究課題
平成21年度は、合計3度、モスクワへ短期出張し、前記の研究課題「ソヴェト農業集団化の社会経済的前提」のために史料を収集した。本平成21年度は、前年平成20年12月の、スターリニズムに関する国際会議(於モスクワ)における報告にもとづいて、露文の論文《От сохи к портфелю》 : деревенские коммунисты и комсомольцы в процессе раскрестьянивания (1920-е-начало 1930-х годов)(「『ソハーから鞄へ』:1920年代から1930年代初頭における脱農民化過程での農村共産党員とコムソモール員」)を書き上げた。本論文の主旨は次の通りである。(1)農村の共産党員とコムソモール員(共産党の青年組織のメンバー)は農業、農村から離れた、あるいは離れようとする特質-すなわち「脱農民化」の強い傾向-をもち、(2)そのことが、暴力的な農業集団化の歴史的前提となり、集団化の時期そのものでは、この特質が突出した。(3)したがってこの過程は「ソハー(木製の犂)から鞄へ」-「ソハー」は生粋の農民を意味し、「鞄」は、農業経営を営む場合とは異なった、有給の職を象徴する-と言い表すことができる。さらにそれは、農村における官僚制の発生とも軌を一にしていた。本論文は、PГACПИ(ロシア国立社会政治史アルヒーフ)の史料、同時代の個々の著作、定期刊行物(新聞、雑誌)等にもとづいて執筆された。これは、今年、ロスペン(ロシア政治百科事典社)からモスクワで刊行される予定である。上記の大きな論文の、ごく簡単な要約(ただしコムソモール員に関する分析はすべて除外されている)は、別記(研究発表「平成21年度の研究成果」)の論文集に公表された。
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Государственная власть и крестьянство в конце XIX-начале XXI века. Сборник научных статей. Коломна. (『19世紀末~21世紀初頭における国家権力と農民:学術論文集』、コロムナ)
ページ: 235-239