平成22年度は、脱農民化の過程がソ連の農業集団化の歴史的前提であり、集団化とともにいっそう急速に加速したというテーマを充実させ、展開させることにつとめた。その際、モスクワ滞在中に「国立ロシア社会政治史アルヒーフ」(РГАСПИ)と「ロシア国立図書館」、「国立ロシア歴史図書館」、若者の社会組織に関する文書館(旧ЦХДМО、現РГАСПИ第3読書室)で収集した資料の研究に主要な労力を費やした。さらに、共産党青年組織の機関紙『コムソモーリスカヤ・プラウダ』と雑誌『若いコムニスト』から多くの重要な論点を見出した。本年度末には、平成21年度末に書き上げたロシア語原稿《От сохи к портфелю》:деревенские коммунисты и комсомольцы в процессе раскрестьянивания(1920-e-начало1930-х годов)(「『犂から鞄へ』:1920年代から1930年代初頭における脱農民化過程での農村共産党員とコムソモール員」)をみずから翻訳し、上記の研究成果を、その翻訳のなかで、加筆という形で反映させた。この原稿は、20世紀ロシア農民史に関する論文集のなかに23年度に発表される予定である。 さらに、ここで展開された論点を結論においた学位(経済学博士)申請論文「ソ連農業集団化の研究(1928-1933年)」を書き上げた。これは、全体として90万字に達する大作であり、まもなく東京大学に提出する予定である。
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