1980年代に日本の製造業の競争力の源泉として労働者の経営参加が注目されたが、これまでの研究では企業経営のあり方と労使関係のあり方を関連付けようとする試みは少なかった。本研究は、このような研究史の空白を埋めるべく、日本の代表的な事業所である八幡製鉄所を取り上げて、そこで経営管理と労使関係がどのように関連しあっていたかを明らかにした。研究の結果、1950年代に会社が当時合衆国で行われていた経営管理方法であるインダストリアル・エンジニアリングや原価管理、生産管理などの経営管理を精力的に行ったこと、労働組合は合理化反対や職場闘争を主張していたにもかかわらず、こうした経営管理に反対しなかったことなどが明らかになった。
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