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2011 年度 実績報告書

「社会政策的都市政策」の概念史的・比較史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21530332
研究機関東京大学

研究代表者

馬場 哲  東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40192710)

キーワード都市政策 / 社会政策 / 生存配慮 / 給付行政 / ナショナル・ミニマム / 英独比較
研究概要

(1)実証作業については、「社会政策的都市政策」と「都市社会政策」の接点として、ドイツでは中世以来慈善団体が重要な役割を果たしていたことに着目し、19世紀に入って都市当局が社会政策への関与を強めて、それまでの慈善・救貧の担い手であった公共慈善財団(修道尼院、孤児院、養老院、聖霊施療院、一般慈善金庫)と都市社会政策における新たな協働・分業関係を築く一方、19世紀末~20世紀初頭には財団の活動の原資である広大な所有地の管理・運用にも介入して、近代都市にふさわしいインフラ整備、たとえば飛行場、港湾施設・工業団地、鉄道駅の建設のために財団の所有地を購入や賃貸の形で利用するとともに、都市当局が積極的な土地管理・購入政策を財団に促すことによって財団の財政的基盤の強化を可能にして今日まで存続する基礎を作ったことを、フランクフルト・アム・マインの事例に即して明らかにした。
(2)概念史的検討の作業については、ドイツにおける「社会政策的都市政策」、「生存配慮」、「給付行政」などの概念に対応する概念ないし構想がイギリスにも存在するかどうか検討し、ウェッブ夫妻の提唱した「ナショナル・ミニマム」概念がそれに該当し、後者が工場法の延長上に出てきたことなど、概念が生み出された歴史的文脈には大きな差異があるにせよ、国家レベルの生存最低限水準の達成を最終的目的としていること、地方自治体がその実質的な担い手で政策遂行の実験場であった、および最終的には現在に至るまで「福祉国家」ないし「社会国家」を根底で支える概念であり続けたことなどの点で共通点をもっており、比較に値することを確認した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 19世紀末~20世紀初頭のドイツにおけるフィランスロピーと都市建設--フランクフルト・アム・マインの公共慈善財団を事例として--2012

    • 著者名/発表者名
      馬場哲
    • 雑誌名

      経済学論集

      巻: 78-1(印刷中)

  • [雑誌論文] 「生存配慮」と「社会政策的都市政策」--19世紀末~20世紀初頭ドイツの都市公共交通を素材として--2011

    • 著者名/発表者名
      馬場哲
    • 雑誌名

      歴史と経済

      巻: 211 ページ: 13-21

    • 査読あり
  • [学会発表] 20世紀への転換期ドイツにおける都市計画と公共慈善財団-フランクフルト・アム・マインの事例-2011

    • 著者名/発表者名
      馬場哲
    • 学会等名
      政治経済学・経済史学会
    • 発表場所
      立命館大学(滋賀県)
    • 年月日
      2011-10-22
  • [備考]

    • URL

      http://www.sbaba.e.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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