1、研究目的:日本における近・現代経済政策史資料の保存状況を実証的に明らかにし、そのあるべき姿を国際比較を含む検証作業によって探り、具体的な改善方策を考究する。 2、平成23年度の研究成果1:平成21-22年度に合計18個所の公文書館、公的資料館、博物館、中央省庁等を訪問し、公的政策の形成と執行にかかる行政文書の保全・保管の現状の実態調査を実施した。平成23年度には、これらの訪問調査の記録と訪問の際に収集した資料を検討・分析し、さらに、実地調査の追加分として防衛研究所付属戦史研究センター史料室の現状を調査し、神奈川県文書館のアーキヴィスト石原一則氏を講師に招いた集中研究会において互いの知見を深めた。 3、平成23年度の研究成果2:上記2の実態調査・現地視察等の成果を報告書案にとりまとめ、公文書保存に詳しい隣接分野の専門家を招いて報告書案検討会を2回開催し、そこで得られたコメントや報告内容の改善提案によって報告書案の改訂版を作成し、印刷・製本した。 4、提言:公文書管理法(2009年公布)の意義を生かすために、以下の諸点を提案する。(1)政策文書を包括的に定義する、(2)政策文書の整理・保管の国民的意義を確認する、(3)政策文書策定関係者の意識向上をはかる、(4)政策文書を集中管理する、(5)国立公文書館の社会的地位を向上させる、(6)情報公開の原則の確認と文書作成者の免責をはかる、そして(7)政策文書保存の意義に適う予算と人員を確保する。
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