研究概要 |
ロシア中銀より入手した1922-90年のゴスバンク(国家銀行)バランスシートのデータを用いてソ連貨幣・金融経済の分析をすすめた。Europe-Asia Studies誌掲載(印刷中)の論文はそのうちの現金通貨流通についての研究成果である。非現金通貨(預金通貨)流通についての分析結果もすでに論文としてまとめ,現在投稿中である。 今年度は,予定外の学内業務(教務委員長)と震災の影響のため予定していたロシア経済公文書館における資料収集をおこなえず,今年度の必須課題としていた1951-54年の国民所得データの収集はできなかった。このデータの欠如により,研究の最終段階にはいたらなかった。一方,ロシア中央銀行がとりまとめたソ連全期間の国家銀行バランスシート・データを入手できたことにより,本研究のためのデータベースは大幅に拡充された。国家銀行バランスシート・データの分析をすすめることができたのは本年度の大きな成果であった。 次年度,上記の1951-54年国民所得データを収集できれば,最低限ではあるが,ソ連期全体をカバーする実物-金融分析用のデータセットができあがる。このデータセットにより,VARモデル,資金循環モデルによりソ連期の貨幣と実物との関係の分析おこない,最終的な結論を得る。
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