今年度はおもにイギリスでの調査に集中した。調査先と調査対象は、大英図書館所蔵の「ロンドン東インド・中国協会London East India and China Association」とマンチェスター市立図書館所蔵の「マンチェスター商業会議所Manchester Chamber of Commerce」資料である。シンガポール商業会議所と本国商業団体とのネットワークの実態を把握するためには非常に有益な史料群であり、特に前者の存在はほとんど知られしていない。 学会においては、本研究の代表者と分担者は、第15回国際経済史学会(ユトレヒト、2009年8月)での「ペナンの海上貿易と植民地化」、社会経済史学会(東洋大学、2009年9月)での「イギリス帝国下のイースタンバンク問題」、イギリス帝国史学会(大阪大学、2009年12月)での「ジェントルマン資本主義と海峡植民地」という報告の中で行なった。さらに、われわれは、秋田茂教授(大阪大学)の科研プロジェクト「グローバルヒストリー」や籠谷直人教授(京都大学)のプロジェクト「古典の中のアジア経済史」にも参加し、本研究の成果の一部を報告した。このような関運する学会や研究プロジェクト等において、他の研究者の情報を把握し、また関連する研究資料を入手するために、綿密な研究打ち合わせを行うことができた。 本年度は、イギリスからアンソニー・ウェッブスター博士(リヴァプール・ジョン・ムーア大学)を招致して、2009年12月に、第6回ヒストリー・セミナー(慶応大学)での海峡植民地と商業ネットワークについて、特別講演会(富山大学)ではイギリス近現代史について、イギリス帝国史研究会(大阪大学)でのジェントルマン資本主義とアジア、についてのワークショップとセミナーをそれぞれ開催した。
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