基軸通貨としてのポンドは両大戦間期以降、衰退しつつあったと言われてきた。しかしポンドは、第二次大戦後においてさえ、単なるヨーロッパ諸通貨の一つにはなっていなかった。ポンドは、戦後ヨーロッパにおいて、他の西欧諸通貨よりも大きな役割を果たしていたのである。それゆえイギリス大蔵省もイングランド銀行も、当初はポンドの復活を志向していたのであるが、ユーロダラー取引の発展とともにシティは再び業務を拡大し始めた。つまり、ポンドの復位なしにシティの復活が始まったのである。この状況がポンドの譲位を容認していくことになったと思われる。
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