研究概要 |
本年度は昨年度収集した文献・資料の分析を行うとともに,研究成果の一部を学会で報告した。まず,文献・資料については,昨年度ベルギーに出張して収集した欧州経済協力連盟の資料が,1940年代後半の欧州統合をめぐる非政府組織の活動の実態を知るうえで極めて重要な資料であることが分かった。 そこで本年度は,すでに刊行されている資料・文献と上記一次資料の異同を確認しながら,1940年代後半に欧州経済協力連盟が他の非政府組織とどのような関係を持ち,また,当時発表されたマーシャル・プランにどのような反応を示し,1948年5月に開催されたハーグでのヨーロッパ会議にいかに対応したのかについて研究を進めた。その結果,当時の非政府組織による欧州統合運動において同連盟は主要4団体の一つであり,4団体間の役割分担において同連盟が経済問題(経済統合)を担当することになったことが分かった。 この研究成果の一部は2010年7月の社会経済史学会東北部会において「欧州統合における非政府組織の役割-欧州経済協力連盟を中心に-」のタイトルで報告する機会を得た。同報告に対しては参加者から欧州経済協力連盟の組織としての性格やメンバーの具体像,連盟がどのような経済統合を構想していたのか,さらに各国政府と非政府組織の関係などについて質問を受け,今後研究を進めるうえで貴重な示唆を得た。 来年度は,本年度の研究をもとに研究論文を発表する予定である。また,資料の収集と分析も引き続き進めていくつもりである。
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