1.課題 18世紀末以降にロシアに大量移住したドイツ人とくにヴォルガ・ドイツ人の第二次大戦前のドイツ移住について歴史的実態を解明する。準備課題として第二次大戦後のドイツ移住およびアメリカ(合衆国、カナダ)移住について資料を収集する。 2.作業 平成21年8月17日から9月1日までドイツ(シュトゥットガルトの外国関係研究所図書館とロシア・ドイツ人協会、レーゲンスブルクの東欧研究所、ゲッチンゲンの北東研究所等)に、平成22年3月7日より同月17日までアメリカ(コロラド州立大学図書館等)とカナダ(カルガリーのロシア・ドイツ人協会図書室、グレンボー博物館文書室等)に出張し資料収集。関連資料を購入。資料の分析と論文素稿の作成。 3.成果 (1)ロシア・ドイツ人の第二次大戦前のドイツ移住の歴史的時期、理由、人数、仲介団体、受入等について新しい情報を得た。1871年以降のロシア化政策と反ドイツ主義、社会主義革命、飢饉、農業集団化が主要な契機となり、移住実現には独ソの政治的関係が深く絡んでいたことが明らかとなった。牧師シュロイニングの生涯はこの移住の実態を体現していると想定される。 (2)第二次大戦後とくにソ連崩壊後のドイツ移住について、理由、量的推移、仲介団体、受入等について基礎的情報を得た。 (3)アメリカ合衆国およびカナダへの移住について、理由、量的推移、移住先、経済生活について概括的情報を得た。 4.今後の課題 (1)第二次大戦後のドイツ移住については再度ドイツに出張し、資料-とくにロシア・ドイツ人協会の機関誌(Volk auf dem Weg、1951~)収載記事-を収集し分析する。 (2)合衆国とカナダへの移住の実態について今回収集した資料を分析し、ヴォルガ・ドイツ人が大量移住したアルゼンチンに出張し、当地のヴォルガ・ドイツ人協会で資料を収集し分析する。 (3)論文を作成する。
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