研究概要 |
以下の史料に示された土地改良事業の詳細を入力したデータベースをACCESSを用いて作成し、近世の耕地拡大について推計を行った。 日本土木史学会編『明治以前日本土木史』岩波書店,1936年 舊藩時代ノ耕地拡張改良事業ニ関スル調査(農林省農政局)1926年 従来、広く用いられてきた宮本又郎の推計は、『土木史』の年表から土地改良事業の件数のみを利用して耕地面積の拡大を推計したが、本研究では、各事業による拡大面積を入力したデータベースを用いて推計を行った。その結果、耕地の拡大は以下の5つの時期のうち、第(1)(3)(5)期で盛んであることが明らかになった。(1)1598(慶長3)年-1674(延宝2)年(2)1675(延宝3)年-1725(享保10)年(3)1726(享保11)年-1736(元文1)年(4)1737(元文2)年-1819(文政2)年(5)1820(文政3)年-1873(明治6)年 この結果と照らし合わせれば、宮本推計は、1.17世紀前半、2.享保期、3.1820年以降の耕地拡大を過小評価しているとの結論を得た。また、開発方法としては、第(1)期には、用水・溜池による開発が多く、第(3)(5)期には干拓による開発が多いことも明らかになった。さらに、耕地拡大の時期は地域によってずれがあることもデータは、示している。 この研究成果を、2009年9月に社会経済史学会全国大会、2010年2月にAsia-Pacific Economic and Business Conferenceで報告した。
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