研究課題
組織における文化的多様性に注目をして、それが企業成果にいかに関連をしているのか、その場合、その関係は賃金格差がある場合にどのように異なるのか、また、文化的多様性と離職率、職務保障政策との関連を研究した。これらの調査では、組織の管理レベルに焦点を当てて、人的資源管理と組織文化との関連を探ろうとした。この調査では、伝統的に同質的な日本企業における文化的多様性と企業成果や離職率との関係が、人的資源管理に依存することを明らかにしたことに意義がある。一方において、組織の現場レベルに焦点を当てた調査を実施し、現在、継続中である。このサーベイを実施するに当たって、かつて日本国内にて実施した調査の方法論、その分析結果に基づいた。現在、マレーシア、シンガポール、中国にて、サーベイを継続中である。製造システムと人的管理システムとは密接に結びついており、その関連は製造成果であるQCD、つまり品質、コスト、納期に影響を与えるという分析結果をかつて得た。つまり、製造システム*人的資源管理→製造成果、という調節的関係(moderated relations)に関する結果である。そのような関係は日本、中国、シンガポール、マレーシアという文化的文脈において、どのように異なるかをアンケート調査を利用してデータを得ている。これまでのサーベイを通して、日本とは異なり離職率が高く、作業者たちの組織に対するコミットメントが弱い中国やマレーシアにおいては、人的資源管理へより多くの投資をした場合、高度な技能を要する製造形態であるチーム生産方式が優れた製造成果を生む可能性は、日本の場合よりも高くなるのではないかという仮説をもつようになった。この研究の意義は、戦略的人的資源管理という研究分野を国際的人的資源管理にまで発展させたことである。
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Working paper, Faculty of Economics at Niigata University
ページ: 1-38