研究課題/領域番号 |
21530354
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
古川 勝 富山大学, 経済学部, 教授 (50279402)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 健康・医療 / 家庭配置薬 / 伝統医薬・伝統医学 / 知識・情報管理 / コミュニケーション / 情報通信 / 地域社会 |
研究概要 |
当該研究の究極のゴールは、アルマアタ宣言が標榜するように、「すべての人が健康な日常生活を送ることができる仕組みの構築」である。しかしながら、途上国においても、高齢化が加速する我が国のような先進国においても、健康・福祉・医療に関わる分野は、きわめて深刻な問題を抱えている。本研究は、江戸時代から継承している富山売薬のビジネスモデルがモンゴル国に導入され成功を収めた事例に着目し、次の2つを明らかにすることで、問題解決に貢献することを目的としている。具体的な2つの目的と24年度における研究成果は、次の通りである。 目的1:配置薬ビジネスモデルが他の途上国でも成功するための要件の抽出と整理 モンゴル国およびタイ国において、配置薬およびそのビジネスモデルの有効性に関する調査が実施されている。各国におけるデータ収集様式に準拠した、我が国における医薬品の利用実態と満足度に関するアンケート調査を統合し、これに多変量解析を加え、現状を分析し発表した。アンケート調査で得られた自由回答のデータを対象にテキストマイニング処理し、利用者の特性をCRM(customer relationship management)の観点で整理した。 目的2:このビジネスモデルをさらに効率よく機能させるためのICT活用の仕組みや方法の立案 コンティニュア・ヘルス・アライアンスは、個人が利用する血圧計、体重計といった機器、医療機関が利用する医療機器、これらの機器と連動したソフトウェアやサービスなどが連携することで、パーソナルヘルスケアの質的向上を目指すNPO法人である。日常生活における健康モニタリングと配置薬を活用するセルフメディケーションの統合システムイメージを共有すべく、活動する。また、国外の活動状況について、情報収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に対する進捗は、次の通りである。 ①モンゴル国で成功したビジネスモデルが他の途上国でも成功するための要件の抽出と整理 成功要因は、国際会議およびジャーナルで発表済である。ASEAN諸国での実施状況との比較は、できていない。日本財団からの情報提供が必要である。集約された資料ができていれば、本研究との比較が可能になる。 ②このビジネスモデルをさらに効率よく機能させるためのICT活用の仕組みや方法の立案 コンティニュア・ヘルスアライアンスについて、機能概要の把握は完了しているが、普及が進んでいない。したがって、応用事例が限られている。システムイメージは描けるが、機器を購入してグループホームなどの協力組織と実証実験するには、予算と時間が足りない。むしろ、普及していない原因を整理することの方が重要であると考えている。 これは、新しい技術や仕組みを「組織」に「導入」する際に見られる「組織の抵抗」という問題に共通する現象であると考えられる。研究の仕上げとしては、新システムの導入を阻害する要因の整理を考えている。これは、当該県休廃止時点では想定していなかったテーマである。
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今後の研究の推進方策 |
下記を中間目標(マイルストーン)として、調査研究を進める。 4~9月:(a)国内において、医療機器や健康管理サービスの連携による健康管理を支援するNPO法人コンティニュア・ヘルス・アライアンス日本地域委員会との情報交換を活発化する。コンティニュア・ヘルス・アライアンスは、個人が利用する血圧計、体重計といった機器、医療機関が利用する医療機器、これらの機器と連動したソフトウェアやサービスなどが連携することで、パーソナルヘルスケアの質的向上を目指すNPO法人である。 日常生活における健康モニタリングと配置薬を活用するセルフメディケーションの統合システムイメージを共有すべく、活動する。また、国外の活動状況について、情報収集する。 (b)コンティニュア・ヘルス・アライアンスのガイドラインに準拠した情報システムの概要をデザインし、実験・実施への協力企業・施設等との連携を図る。当該システムは,すでに完成してはいるものの,普及に難がある。普及していない理由(阻害要因,制約など)を生産者(企業)側ではなく消費者(利用組織)側からの視点で明確化する。 (c)上記(a)(b)および国内の研究協力者との情報交換などで、国内旅費の支出を予定。 10月以降:(c)コンティニュア・ヘルス・アライアンスの国外での活動状況を調査し、我が国との違いや我が国における課題などを整理する。このため、欧米への渡航旅費支出を予定。 (d)また、これまでの研究成果を学術論文としてまとめ上げ、関連学会の論文誌への投稿のための準備をする。さらに、上記研究目的の②に関する資料収集を実施し、研究成果をまとめ上げる。
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