当該研究のゴールは、「すべての人が健康な日常生活を送ることができる仕組みの構築」である。しかし、途上国においても、高齢化が加速する我が国のような先進国においても、健康・福祉・医療に関わる分野は、深刻な問題を抱えている。本研究は、江戸時代から継承している富山売薬のビジネスモデルがモンゴル国に導入され成功を収めた事例に着目し、次の2つを明らかにすることで、問題解決に貢献することを目的とする。 目的1:配置薬ビジネスモデルが他の途上国でも成功するための要件の整理 目的2:このビジネスモデルをより効率よく機能させるための情報通信機器活用の仕組みの立案 当該年度は目的2に焦点を当て,下記の成果を得た。①家庭配置薬システムの使命を「セルフメディケーションの支援と普及」,顧客を「健康な生活を求めるすべての人々」とした上で,②医療検査機器のコンピュータへの接続性標準化を使命とするコンティニュア・ヘルスアライアンスとその認証機器の活用方法を紹介し,③配置薬を利用したコミュニティ・ベースのセルフメディケーション(CBSM)とコンティニュア認証機器とのシステム連携イメージを提示するとともに,④再定義されるべき顧客はこのCBSMを実践できるコミュニティであること,そして⑤その実現に向けたシナリオと課題を提示した。 先用後利をベースにした配置薬システムは,途上国においては,日本財団の財政支援の元,その有効性と新奇性故に,地域の行政や大学,そして住民にスムーズに受け入れられた。しかしながら,発信元の我が国において, 現在、配置薬システムをコンティニュア認証機器と組み合わせたセルフメディケーション・システムとして普及させるための推進組織は国内に存在しない。 学術研究だけでは、推進・普及という点で限界がある.しかしながら、推進・普及を阻害する要因を洗い出し、その対応策を検討することはできたと考えている。
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