研究課題
本研究は,近年のドイツのコーポレート・ガバナンスの動向を検討することを課題としている。とくに最新のデータに依拠して,1)ドイツの資本市場の動向を明らかにする,2)機関投資家,とくに外国人機関投資家がドイツでいかに台頭しているのか,3)彼ら機関投資家は経営者にどのような要求を行っているのか,4)こうした機関投資家の要求を受けて経営者はいかなる「選択と集中」を柱とする事業の再構築戦略を実施しているのか,つまり外部監視の実態を明らかにするとともに,5)ドイツのコーポレート・ガバナンス規範以降の内部監視メカニズム強化の動向を明らかにすることを通して内部監視の実態を解明し,合わせて6)こうした外部・内部監視の変容に対して労働組合はどのように対応しているのか,とくにドイツの伝統的な労使共同決定にいかなる影響を及ぼしているかを解明することを目指している。これまで3年間の共同研究から得られた知見を踏まえて,本研究最終年度に当たる本年度は,その総括を行い,その成果の公表に努めてきた。その成果は各メンバーの研究成果として結実している。これらを総合すると1)1990年代以降,ドイツの資本市場はますます外国人機関投資家のプレゼンスを高めてきたが,2008年の「リーマン・ショック」以降の金融危機に伴い,その影響力は減少していること,2)ドイツにおいても「株主価値重視経営」のスローガンの下で「選択と集中」が行われてきたが,2008年以降の金融危機により,アングロサクソン流の企業経営に対する真摯な反省が見られること,4)1990年代末から2000年代初頭にかけてドイツ工業連盟(BDI)会長ロゴウスキーの「共同決定は歴史の誤り」発言に見られるような,労使共同決定批判が行われてきたが,今日ではむしろ共同決定に対する再評価が起きていることを明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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『商学論叢』(中央大学商学研究会)
巻: 第54巻・第5号 ページ: 231-262頁
『比較経営研究:コーポレート・ガバナンス改革の国際比較』 (日本比較経営学会)
巻: 第36号 ページ: 23-48頁
Programme and Proceedings of the 11th World Congress of the International Federation of Scholarly Associations of Management, Interesource Group Publishing
巻: Proceedings ページ: 1-16