1、 実証研究のための基盤づくり 平成22年度は、平成21年度に実施したインタビュー企業とは別に、新たにインタビュー先を設定して、経営者および後継者に対するヒアリングを行った。具体的には、菓子製造業、酒類製造業、および情報サービス業の3社である。 平成21年度における研究成果として広島大学へ提出した学位請求論文『中小企業の事業承継プロセスにおける企業価値創造』の再検討を行い、当該論文中で実施しているインタビュー調査およびアンケート調査とは異なる観点からの調査項目を設定して、インタビューを実施した。 研究テーマの性質上、大規模なアンケート調査の実施は困難が予想されるため、事業承継とM & Aの両方に関心の高い企業に対して複数回ヒアリングを行い、各社に共通の考察対象を模索することに努めた。 2、 理論構築 事業承継および事業承継に関わるM & Aについては、わが国において理論的に十分に論じられているとは言えず、レビュー対象の既存文献も限られる。このため、欧米、特に米国のFamily Business Review誌を中心にファミリービジネス研究の既存文献を精査することに努め、理論的枠組の構築を行った。 3、 最終年度へ向けて 平成22年度は情報のインプットが主となり研究発表という形でのアウトプットは行えなかったが、今年度に得た定性的データは最終報告書において重要な示唆を与えるものであり、知見の一層の拡大に努めたい。
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