1、インタビュー調査結果の分析 平成23年度は、インタビュー調査で明らかにされた内容についてキーワードをもとにしたクラスター化を試みて、定性的な全体傾向を探る作業を実施した。しかしながらクラスター化の分類基準設定が十分に確立できず、それを補完するための定量的分析の必要性を痛感する結果となった。 加えて、昨年度に引き続き、平成21年度における研究成果として広島大学へ提出した学位請求論文『中小企業の事業承継プロセスにおける企業価値創造』の再検討を行い、当該論文中で実施しているインタビュー調査およびアンケート調査について、異なる分析視角に基づくデータ処理の可能性を模索するとともに、理論的枠組みにおける発展可能性を検討した。 2、理論構築 事業承継および事業承継に関わるM&Aについては、わが国において理論的に十分に論じられているとは言えず、レビュー対象の既存文献も限られる。このため、平成23年度においても22年度同様、Famiy Business Review誌を中心とした欧米のファミリービジネス研究の既存文献を精査することに努め、理論的枠組の構築を行った。 3、研究成果と今後の発展可能性 平成23年度は研究発表という形でのアウトプットは行えなかったが、今年度に得た定性的データは最終報告書において重要な示唆を与えるものであると思われる。また、これまでに得た知見の蓄積をもとに研究内容の充実を図り、事業承継研究の発展に寄与できるよう継続的な調査に努めたい。
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