研究課題
「日本では、同族経営・ファミリー企業には、マスコミによる企業不祥事の温床としての否定的な見方が強く、一般的にも、学術研究においても、正当な扱いを受けているとは言い難い」「日本経済では同族企業が重要な位置を占め、中小企業の大多数は同族企業である」「創業100年以上の老舗企業の数で、日本は他国を凌駕している」「ファミリー企業における最大のビジネス課題が事業承継である」「老舗企業の大半を占める同族中小企業の事業承継問題は、日本では学術的研究の対象とはなってこなかったが、フランスでは、学術的研究の対象として完全に定着している」こうした背景の下で進められてきた本研究は、平成23年度において、最終的に大きな研究成果を実現した。それは、フランス中小企業学界における中小企業の事業承継と老舗企業の事業承継に関する第一人者と呼びうる存在の3人の研究者を日本に招いて「中小企業の事業承継:日仏シンポジウム」を平成23年11月に実施したことである。(1)「中小企業の事業承・日仏シンポジウム」の開催にあたり、フランス経営学界における事業承継問題研究の第一人者であるグルノーブル第二大学のベランジェール・デシャン准教授を日本に招き、研究交流を進めた。2012年10月にブレスト大学で開催されるフランス語圏国際中小企業学会に共同論文を投稿した。(2)「中小企業の事業承・日仏シンポジウム」の開催にあたり、フランスで最初に事業承継問題研究を普及させたモンペリエ第一大学の学派の代表的研究者であるランス・ビジネススクールのソニア・ブサゲ教授を日本に招き、研究交流を進めた。事業承継者の心の悩みに焦点を置いた研究を共同で推進した。(2)「中小企業の事業承・日仏シンポジウム」の開催にあたり、フランスにおける同族企業の事業承継問題研究の代表的研究者であるマルセイユ・ビジネススクールのカティア・リショム・ユエ准教授を日本に招き、研究交流を深めた。京都の同族・老舗企業へのインタビュー調査を共同で実施した。(3)同族・老舗企業を含む中小企業の経営者のメンタル・ヘルスについて、10月にモンペリエ第一大学のオリビエ・トレス教授が主宰するAMAROK(全仏中小企業経営者の健康問題支援機構、モンペリエ市)を訪問調査し、パリで開催されたフランス起業家活動研究学会(AEI)で研究報告を行った。(4)『日仏経営学会誌』日本リスクマネジメント学会誌『危険と管理』などに研究成果を論文として発行した。(5)一連の研究を通じて、事業承継問題に関わる日本経済の現状における問題点を把握し、改善策について提言した。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) 図書 (1件) 備考 (1件)
神奈川大学国際経営研究所『マネジメント・ジャーナル』
ページ: 45-63
関西大学社会安全学部紀要『社会安全学研究』
巻: 第2号 ページ: 111-112
ソーシャル・リスクマネジメント学会会報『実践危機管理』
ページ: 13-14
商工金融
巻: 61巻9号 ページ: 75-95
Bulletin de la societe franco-japonaise de gestion
巻: 28号 ページ: 47-52
『日経ビジネスアソシエ』(『徹底予測日本の復興』)
巻: 平成23年6月27日号 ページ: 76-77
巻: 24号 ページ: 98-103
Acte du 7e Congres de l'Academie de l'Entrepreneuriat et de l'Innovation, Risque, echec et reussite
ページ: 1-20
日本保険学会『保険学雑誌』
巻: 第615号 ページ: 147-166
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~kamei/business_succession.html