研究課題/領域番号 |
21530378
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 与洋 東京大学, 産学連携本部, 教授 (00422460)
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研究分担者 |
筧 一彦 東京大学, 産学連携本部, 特任准教授 (90345116)
尹 諒重 名古屋商科大学, 経営学部, 講師 (50585213)
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キーワード | 産学連携 / 国家プロジェクト / イノベーション / コンソーシアム / 社会的課題 |
研究概要 |
主な成果から2点を報告する。 1、産業界との共同研究や受託研究は、一般的に、ある製品を想定して、その技術開発等の目標が明確に定義できることが前提になる。しかし、社会的な課題が明確に存在し、新市場が将来形成されるのは確実であるが、産業界は課題設定を明確にはできず、従って、確信をもってその新市場にむけて研究開発投資をできないセグメントがある。例えば、『我が国が他国にさきがけて直面している超高齢社会に向けて、国民が受容する製品・サービスは何かを解き明かし、イノベーションを創出する』ことを目的とするとき、共同研究・受託研究方式を活用することには無理があり、新しい産学連携のスキームが必要とされる。そこで、これまで活用事例のほとんどない「参加方式による共同事業」の制度設計を行い、2009年度から2年間、産学コンソーシアム「ジェロントロジー」を試行した。3年目に入った時点で、参加した45社を対象に参加したことによる効果測定を行った結果、高齢者に関する理解が深まったこと、研究者や業種を超えた企業とのネットワークが形成できたことが評価され、大筋企業の満足を得るモデルであることを確認できた。 2、官が主導する国家プロジェクトの効果。平成14年度から平成22年度の9年間に2つのNEDOプロジェクトを実施した「マイクロリアクター」分野に注目し、その効果を評価した。平成10年頃当時、国内の研究者・開発者がほとんどいなかった「マイクロリアクター」分野に対し、本プロジェクトの実施とともに、研究者数は毎年増加し、平成21年には250名を超す研究者が産まれた。一方特許の件数に関しては、平成17年に出願件数80件近くで最大値を示すが、以降、減少していく。これは、実用化が近くなり、ノウハウとしての秘匿を動機とするとのヒアリング結果と合致する。NEDOプロジェクトが実施されることで研究開発が加速され、実用化に進んだケースであり、成功例であるといえる。
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