研究概要 |
本年度は、まず第1に、ヨーロッパ(主として、スイス、ドイツ企業)と日本の企業の人事担当者を対象にアンケート調査を実施し、雇用・人材開発システムの実証分析・国際比較を行った。チューリッヒ大学のBackes-Gellner教授と情報交換・連携をしながら、製造業と小売業を中心に企業を選定し、質問票(ドイツ語、英語、日本語)を作成し、ドイツ、スイス、日本企業を対象に調査を実施した。特に、各国企業が企業のコア・コンピタンシーに必要なスキルをもつ従業員をどのように採用し、どのような人的資源管理戦略を選択するのかを比較・分析した。また、企業の財務・所有構造が人材開発・人的資源戦略にどのような影響を与えるかを分析した。その際、各国の制度的・文化的相違や産業ごとの特徴についてもデータ分析に基づいて考慮・検討した。以上から、学術論文'Stand und aktuelle Herausforderungen des japanischen Hochschulsystems'(Shiho Futagami,Uschi Backes-Gellner,und Kerstin Pull,Hochschulmanagement,Heft 1,2010.)を執筆した。 第2に、ILO:International Labour Organization(国際労働機関)でRaymond Torres氏と情報交換しながら収集したデータやGhai,Dharam等の文献を整理し、ヨーロッパの研究動向や調査結果を継続して分析した。Decent Workの視点からモデルとなる雇用・人材開発システムをもつ企業を調査・分析し、ケース・スタディとしてまとめた。以上のことから、学術論文'Non-standard employment in Japan:Gender Dimensions'(Shiho Futagami,ILO,2010.)を執筆した。
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