「本研究の目的」は、日本の加工製造業・同加工機械製造業中小企業の製造事業戦略と日欧先端企業間連携の具体的な戦略、特にポスト自動車時代=次世代自動車製造における日仏独の自動車部品・同関連加工企業の国際連携戦略の検討にあった。「研究実施計画」は、中小製造業企業戦略論や次世代自動車に関する国内・海外文献研究および国内・仏独瑞の企業調査である。「本研究の成果」は、(1)同戦略の対象市場は、加工事業開拓志向のBtoB(製造業企業顧客向け)市場であること、(2)同戦略における技術事業展開の軸は、製晶技術面での機能材料・部品の加工製造事業開拓と製造技術面での同加工製造向けの工具・機器・機械等の設備の設計開発事業とのいう高付加価値事業と、こうした高付加価値事業と並行して薄い利幅ながら利益が確保できる標準事業との3軸であること、(3)こうした3軸の事業展開は、日欧企業間の国際連携ならびに自動車部品部門と航空機部品部門との業種間連携という2面での先進技術蓄積企業間連携によって加速されること、を明らかにしたことである。日欧国際連携の要点は、(1)工作機械や製造設備の製造事業を対象に、(2)内部のメカニズム簡素化志向のグローバル共通モジュール部品設計開発、(3)同内部のセンサとサーボ・モータとの交流系同期制御の技術の構築、(4)モジュール間のインターフェイスの電子化による工作機械製品単位の工場内管理を模した加工動作の連携化、ならびに(5)日欧別運転を前提としたモジュール・カスタマイズ設計と地域別メンテナンス・サービス体制の構築、を図ることである。 「研究の意義ならびに重要性」は、量販市場の確保のための新商品開発と営業管理、事業・人材の選別的管理手法からなる、ビッグビジネスを対象とした従来の経営戦略論に対して、逸品少量の量産転換のための工作機械・設備の設計開発、既存の事業・人材の存続・育成を目的とした事業運営の改善による「改革=戦略」からなる、中小事業向けの事業戦略を新たに提起したことである。
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